2013年3月31日日曜日

 今年初頭から密かに最も爬虫類業界を震撼させたと思われるボアコンストリクターの新しいモルフ、「セシウムフェイズ」。スイスで繁殖されたスリナムレッドテールボアからとれたこの個体は今年まで個人繁殖家のもとで内密に育成されていました。今回満を持して一般に公開されると共に、繁殖家から「1ペアのみを販売する」というオファーを受け取りました。詳しくは管理人までメールを宜しくおねがいします。



 ・・・などというポストが私設フォーラムに始めて投稿されてからはや4年が経ちますが、この写真いまだにネット上の爬虫類好きの間を漂っています。やはりそれだけインパクトがあり、ヤラセと分かった後でもなおどきワク感のある写真だからでしょう。ボアコンに対する青色って、自分にとっては夢想すらもしないカラーリングで、言うならば真っ青なバラ、赤いセキセイインコ、黄色い救急車(?)みたいなかんじでちょっとわくわくします。

 管理人にとっては今年が始まってからもう4ヶ月も経っていること自体エイプリルフールという感なのですが、日に日にうららかに若草の香る風を感じ、ほかの全ての生き物と同じように春の訪れに歓びを感じている日々であります。近所の小川にもいつのまにか小魚がいっぱいわいていて、そろそろ野生のガータースネークなども見られるのでは、と楽しみにしています。

2013年3月25日月曜日

 風の便りで、スコットランドの繁殖家グループによってアルビノのアフリカンロックパイソンが登場したと耳にしました。長らくパターンレス以外のモルフがなかったアフロックですがこれがきっかけとなってこれから何らかの改良の動きが出てくるかも。今回の個体はWCのセバエ・セバエのオスで何らかのタイプのT+アルビノ、輸入元では便宜的にラベンダーアルビノと呼ばれているようです。写真を見ると意外なほどきれいで、バーミーズパイソンと比べるともともと浅黒い系の本種の色合いがうまく作用しているように見えた。T+アルビノのわりにあの頭部の鏃模様を強調するような濃色部はほぼノーマル色なので、ちょっと不思議な印象。これからパターンレスを主な交配相手とした繁殖プログラムに導入されてゆくそうです。

 とまあこのような、一昔前なら先に&確実にアメリカの手に渡っていたようなヘビが別の国へ行くようになったという点に、ちょっと象徴的なものを感じています。本国での微妙な立ち居地と法規制とを受けて、今後大蛇トレンドの拠点は欧州へ移っていくのでしょうか。

2013年3月24日日曜日

 週末、今年最初となる爬虫類のエキスポへ行ってきました。年々カエル屋やカメレオン屋のテラリウムが良く見えてきます。このエキスポについては時間のある時に別ページにまとめたいと思います。また先週の話ですが、「さかなクン」が再発見に貢献したあの西湖のクニマスが、ヒメマスと同条件で繁殖に成功したとのニュースを目にしました。おもしろいと思った部分は、孵化はするものの稚魚の生存率が生後3ヶ月で約40%と劣るクニマスについての、研究所の人の「野生のクニマスから養殖した1世代目は遺伝的に人に慣れていないためでは」というコメント。飼育下の環境(制限のある生活スペース、人影、餌など?)についてより感受性の強い稚魚は、こういう早い段階でけっこう死滅してしまうのかもしれないけど、のこり40%の潜在的に外部の刺激や環境の変化に寛容と思われる魚同士をこれから掛け合わせて行けばいわゆる「遺伝的に人に慣れやすい」状態になるのかなと思った。魚ですらこのようなことが起こるので、おそらくCB化の進んだ爬虫類にもそういう現象は多く起きているのではないだろうか。

2013年3月20日水曜日


地元にあるこじんまりとした動物公園へ行ったら、すごく小さな(そして古い)爬虫類コーナーにコーンスネークが2匹いた。どんな爬虫類にも言えることだけど、現地の人が行う、現地の動物のためのビバリウムにとても興味がある。その種類を外で身近に観察したことがあることからくる、自然な表現がある気がするからだ。このケージを見て横に立っていたアメリカ人のおじさんが「俺の田舎では、まさにこんな感じ」と頷いていたのが印象に残った。日曜日に納屋を開けると、こうして道具類のすきまにいるコーンスネークにしょっちゅう出くわしていたという。生き物を飼ううえで野外・野生でのその生き物の生活を垣間見たことがあるというのは、その生き物を五感の中に取り込むという意味でとても大事な事なんではないかと思う。

2013年3月12日火曜日


最近、パイとかグラタンを焼く用の大判ガラス皿が水入れとしてかなり使いやすいことに気が付きました。見た目は悪いけどある程度重さもあり、もち手も付いているし、プラスチックと違って科学物質とかも気にせずどんどん食器洗浄機などにもかけられ、何より中型のヘビがあまり怖がらずにホイホイ出入り出来る・かつ体の厚みの80%くらいまで浸かれる「絶妙な浅さ」がイケている、と勝手に感動しています。(水深に関してはもし深くても中にミズゴケや玉砂利などが少々入っていると安定がいいのか、入ってくれることが多い気がする。)写真の「チビロンギ」はだいたい1歳7ヶ月を過ぎました。なんか、仔育てがメンドイからと一匹しか買わなかったのが、約1年半後の現在は「どうせ育てる手間は同じだからもう何匹か(仔ヘビを)買っとけばよかった」という心理になりました。

 ところで、最近コロンビアンレインボーボアのモルフがいくつか確立されたものが増やされて出回り始めているようです。コロンビアンは、いわゆるレインボーボアの醍醐味を味わえる種かというとちょっと違うと常々思っている管理人ですが、最もペット的なキャラクターを持っている種でもあるのでこうして少しずつでもスポットがあたってゆくのは概良いことのように思われる。

2013年3月11日月曜日

 昨年のバーミーズパイソンとキイロアナコンダに続き、世界中に支部を持つ超大型動物愛護団体・ヒューマンソサエティ(HSUS)が、北米におけるボア・コンストリクター、大アナコンダ、アミメニシキヘビの飼育の規制を求めてロビー活動を展開しています。最近丁度、「私達はヘビをペットとして飼うべきか?」というコラムを読んだばかりだったので、これについて色々思うところがありました。というのも管理人は、ペット・トレードや商業的な利用が目的の野生動物・爬虫類の搾取という問題を踏まえて考えた場合、今回規制対象にされようとしているようなCB化された一部のボア・パイソンやナミヘビの仲間の存在によって、野外採集個体への需要がある程度分散OR抑えられているという現状もあるのではないか、と考えるためです。全体的に見て、今日の爬虫類好きの人々の文化レベルでは「何か面白い動物を飼いたい。手元において間近に眺めたい。集めたい。大蛇やオオトカゲのような、強大な生き物を手中に収めたい。」という欲求を抑えることは困難なため、これらの種類のヘビたちがある意味、人柱のようにその需要を埋めてくれていると思うのです。これらのヘビを飼うということのダウンサイドリスクとして、外来生物による遺伝子汚染や帰化問題があるけれども、そのアップサイドは往々にして無視されがちであると思う。物事の「起こりえるポジティブな効果」というのは、ネガティブな効果よりも検証が難しく、それゆえ「大きな(危ない)ヘビを飼ったっていいじゃないか」という主張には、説得力があるものが少ないと感じやすいのだと思う。

2013年3月5日火曜日

photo taken by Tigran Tadevosyan, Jrvezh, Armenia  

 ちょうど良い機会にジャベリンサンドボアの頁を編集しようと、中央アジアから中東へかけての爬虫類一般について調べていました。上は、その間やけに気になってしまったパレスチナククリィヘビ(Rhynchocalamus melanocephalus sp.)。日本に時々輸入されるククリィヘビの仲間とは属が違うのにそれでもなぜかククリィヘビと呼ばれていて、melanocephalusの名の通り、基亜種では頭部は黒一色になります。この東トルコからイラク・アルメニアなどに見られる亜種satuniniが派手なオレンジで非常にお洒落な感じで特に心惹かれるものがあった。一瞬サンビームヘビを連想させるような樹脂的なテリのある鱗をしていますが、そのサンビームヘビと同じく一生のうちの多くの時間を土にもぐって、もっぱら虫の幼虫や無脊椎動物、アリの卵などを食べて暮らしているのだそうです。今後紛争などが起こらなければ5年以内くらいを目処に中東へ行ってみたいと思っているので、運がよければそのうち出会えるかもしれません。

 それにしても、本種やマッド・スネーク、一部のミズヘビなどにも見られるこの派手な色彩というのは一体何のためなんだろうと、いつもかなり不思議に思います。ぱっと常識的に思い付く可能性としてはやはり他の有毒ヘビへの擬態があるけど、例えば上のパレスチナククリイヘビの場合、アルメニアに生息する有毒ヘビはどれも本蛇とは似ても似つかないクサリヘビ科の仲間で占められているので、理由としてはあまり考えられない。となるとやはり外敵とのアクシデンタルな遭遇があった時、注意を逸らす目的なんだろうか。

 そういえばある時野生のズグロパイソンの写真を見ていてちらっと思ったことがあるのが、目立つ体の模様に対して頭部だけ黒いとか、首に襟巻き状に暗色部があるというのは、身を守るのにけっこう役立つんじゃないかという所です。斑紋のコントラストが激しいので捕食者(特に鳥類を想定)は明色部の多いボディの方に気をとられ、その間蛇は頭部を守ることが出来て、逃走出来る可能性が増すのかもしれない。パレスチナククリィヘビの場合、首の黒い斑のおかげでこのボディと頭部は別の生き物として認識される可能性もある。まーでも、しかしながら、こんなに派手な色使いになっちゃったらもうそのへんの細かな事情はもはや関係ない気もする。実は紫外線の下だと全然違う色に見えてるとか?・・・・・・う~ん。他蛇事ながら無事大自然を生き残っていけるのかと、無駄に心配になってくる蛇です。

2013年3月2日土曜日

 ずっとタタールサンドボア「らしき」スナボアとして飼ってきたプンたろう(メス)ですが、ここのところジャベリンサンドボア(ヤハズスナボア)疑惑が出ています。発端は、次に購入を検討しているスナボアのブリーダーにたまたまプンたろうの写真を送ったところ、ブロッチが真黒いのは模式的な形質からは外れるが、ジャベリンサンドボアの可能性はないかと言われたことでした。氏曰く、メスのタタールサンドボアは結構大型になる(少なくとも80~120センチ)が、それに対して80センチあるかないかのプンたろうは若干小さい。また、ジャベリンサンドボアは生息する範囲が広域にわたるため、亜種間の違いも含め個々の個体のもつ体色や斑紋のバラエティもかなり多様で、そのため本やウェブなどで見られる写真の一枚一枚はあまり頼りにならない事も多いそうです。調べてみると確かに目じりから口端まで続くストリークがあるということと、体鱗列数、噴腹鱗の数及び、尾下の鱗の数がだいたい当てはまりました。ただし、これらの特徴は中央アジア~ユーラシア、欧州産のスナボアには比較的ありふれたものだということと、プンたろうとある程度似た見かけのヘビはジャベリンサンドボアの中にも、タタールサンドボアの中にも見られるという点で、これが個体のローカリティからくるものなのか、先に挙げた二種いずれかの亜種だからなのか、もしくは何らかの亜種間雑種なのか、今の所はっきりしていません。そんな疑問を残しつつ、これからは「おそらくジャベリンサンドボア」のプンたろう(メス)をよろしくお願いします。