2013年11月3日日曜日

 「おサルさんがヘビを嫌う」という話は日本では比較的昔から知られている事ですが、この(人間も含む)霊長類全般に見られる忌避行動のメカニズムが、最近解明されてきています。(参考1)(参考2)(参考3

 一番新しい説によると我々霊長類は脳の一分野に、ヘビの姿を知覚することに非常に長けた特別な神経細胞群をもっているのだそうです。これは有史以来サルが、ヘビに対して被食者という立場にあったために発達したものとみられています。普段の生活の中で「動き・変化のあるもの」を見る事に重きを置いている哺乳類にとって、藪や木陰にじっと潜んでいるヘビを見つけ出す事はより高度な認知能力を必要とします。そのため長い進化の過程で、脳の中にヘビにまつわる視覚情報をより敏感に感受できるパワフルなプロセッサーが形成された・・・という事みたい。この研究を始めた学者さんはそもそも初期霊長類の視覚(と脳)の進化そのものが起きた二大要因が採集活動とヘビの脅威に対応するためであったと考えているほど、ヘビは霊長類にとって危険な敵だったんですね。我々人間の祖先もかつて何万年もの間、毒ヘビや大蛇の脅威に晒されていたのでしょう。今回の実験では飼育下で生まれ今まで一度もヘビを見たことがないニホンザルが使われたそうで、これによりヘビに対する忌避反応が先天的なものだと分かりました。今までは母ザルや他のサルを見て学習するのでは?といわれていたんですよね。思うに、脳の回路や伝達物質、ホルモン分泌の量、レセプターの感受性などは遺伝によるところも多いと思うので、たとえば恐怖を感じにくい脳を持ったサルの親子がヘビを比較的恐れない、などの個体差は生じるかもしれません。
 
 となると「じゃあヘビが好きな人ってナンなの?」て気になります。ここから先は管理人の想像なので話半分で読んでほしいんですが、多分このヘビを知覚する神経細胞群はあるけど、それがどういうわけか恐怖や憎悪を感じる分野ではなく、どっか別の所・・・例えば幸福感とか快感を感じるような場所にワイヤリングされているんではないかと思う。人間の脳とは宇宙並みに複雑なコンピューターであるため、門外漢の自分にはこの程度の抽象的なアイデアしか考え付かないですが、爬虫類好き、ヘビ好きの脳は、一般的な人々の脳に比べてきっとどこか異なる回路があるに違いない!と、勝手に考えています。

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