2014年7月31日木曜日

借りたら返すという発想


 ここ最近ちょっと思うところがあって病院に受診したところ、高確率で脳に微細な腫瘍があることが分かりました。幸いあまり難しい部位ではなく、多分薬物でトリートメント出来るタイプの奴とのことですが、今後成長する可能性があるのと、管理人はどちらかというと外科指向なので、できれば手術をと考えています。これから精検して、日本で脳外の先生をしている友人にも意見を聞いて、経過を観察する予定です。11/10追記:専門家曰く放置してもOKなやつとのことなので、放置プレイ決定しました。

 にしてもこうして時折再確認させられるけれど、人生は有限ですね。どうせそのうち寿命は尽きるのだから、その前に何か「いいこと」をしておきたい、そう漠然と思いながら過ごしてきたここ5年くらいでした。爬虫類のことに関しても、いきなり動物園で有志スタッフなどをしようという気になったのも、こうすることで微力ながらも爬虫類の保護(=「いいこと」)を手助け出来るんじゃ?という、かなり単純な動機が頭のどこかにあったためです。自分は人生のはじめの25年間、生き物に関してはどちらかといえば所有する事ばかりを考えて、売ったり買ったり時には死なせちゃったりと、エゴの赴くままに生きてきたと思っているので、次の25年は沢山借りのあるこの爬虫類という生き物に対して、ちょっとずつでもそれを返していく時間にしたいと考えています。まあ25年きちっと生きられればの話だけど(あ、終末関連の話題に興味のある方は、よければこの話も読んでみてください→「死ぬにあたって。若き爬虫類飼育者の場合」)。


 とまあ内心あまり気が休まらない一週間を過ごしていたのですが、ふと息抜きに釣り道具持って近所の湖へ行った所、よかサイズのニシキガメが釣れた。バス用の針にかかってしまったので口の傷は小さいものの、けっこう血が出ていたので、うちで手当をしてやり今裏庭の減菌コンテナで泳いでいます。爬虫類に貢献!とか言ってる傍からこれかよといった所ですが、用心深いニシキガメが釣れること自体は結構珍しいので、湖の女神が「これでも見て元気出せよ」と寄越してくれたのだと勝手に解釈することにしました(・・・)。

 カメは手で持つと小ぶりなハンバーガー大の個体ですが、前足には立派な長いツメが生えそろい、既に成熟したオスと分かります。雰囲気的には多分4、5歳くらいの若いカメという感じ。野生のニシキガメの繁殖期は春と秋なので、傷が癒えたら遅くとも秋口前にはもといた場所に戻す予定です。何らかの理由でこんなふうに野生のカメをキープ&リリースする場合、繁殖や冬眠といった彼らの中でのメジャーなイベントにかぶらないよう考慮する事が重要になってきます。特に冬までに十分な時間的余裕があることは必須です。

2014年7月23日水曜日

カラフルカエル

 ここワシントンDC近郊も、いつの間にやら街路樹にセミやキリギリスが登場して、夏も本番開始といった雰囲気が感じられるようになった。そんな中動物園に登園してみると、レプタイル・ラボが小学生達と色とりどりのカエルでこんなに賑やかな状態になっていた。


 アメリカでは、こうやって夏休み中のキッズ達を家から追い出すに学びの機会を与えるための「サマーキャンプ」と呼ばれるアクティビティが非常に盛んなのだ。キャンプは1日で終わるものから2週間くらいのものまで基本的に遊びを通して様々な勉強をするというコンセプトで運営されており、共働き率が非常に高いアメリカの親たちを助ける重要な行事となっている。今日たまたま鉢合わせたのはそのようなキャンプの中でもスミソニアン動物園が毎年行っているSummer Safari Day Campのうちの「Fantastic Frogs」というセクションだったようだ。インストラクターに聞いた所、子供達は同じ形のフェルトを2まい切り抜く所から、目をくっつけて色を塗り、どんな種類のカエルなのかを紙に書く所まで協力しながらがんばって作り上げているそうで、とても感心した。ラボの生き物たちのメンテナンスをしている最中みんなが気前よくその「作品」を見せに来るので、素敵なカエルだね!とか、模様がいいね!とか褒め称えていたけれど、それを聞いたキッズ達の満足気な表情が印象に残った。この子供達が大人になった時、多分今日こうしてカエルを作ったことは忘れてしまうだろうけど、こうして爬虫類に対して「なんとなくいいイメージ」を持った大人たちが増えていくとしたら、それはすごくいいことだと思う。

2014年7月18日金曜日

行ってきました。



 走行距離計3000キロくらいのロードトリップが終わりました。時間の制約上ほぼ一日ごとに宿泊する街を変えていったので、周辺の自然やプロショップ等の探索にあまり時間を割けず、爬虫類とかいきもの関係的には実りの少ない旅となってしまいましたが、カナダののどかな自然&北アメリカ最古かつ最大の工業都市群の光と影を同時に見ることが出来て、いい刺激になりました(いきもの関係ないから省くけど、2年前に破産したデトロイト市の惨状は予想をはるかに超えていた)。

 レイクエリーミズベヘビは、見ることが出来ませんでした。エリー湖の畔、カナダのほぼ南端にあたる保護区域まで農地の間を何時間も飛ばして行ったのでちょっと残念でしたが、次回に期待。運が良ければウジャウジャわいてることもあるというこのヘビ達ですが、ヘビに限らず爬虫類って「絶対見つけたい!」と目を血走らせてる人の前には何故か現れなかったりすることがあるから不思議ですね。

 上の写真はシカゴの水族館で見た五大湖の魚で、以前しょっちゅう釣って食べたり飼ったりして遊んでいた(→ログ)パンプキンシード(Lepomis gibbosus)の成体。この個体は抱卵しているためか色があまり良くないけれど、ロングイヤー・サンフィッシュ(Lepomis megalotis)などと並んで、本来ブルーギルの仲間としては感動的なくらい美しい魚。下の写真は、同じく五大湖北部のより冷涼な水域に住むカワマス(Salvelinus fontinalis)。日本のイワナの親戚にあたる種で、これも息を呑むほどきれいな魚。魚自身の綺麗さはもとより、ツヤだしした木のフレームで囲われた水槽がマス達とすごくマッチしていて、クラシックな幻想絵画のような雰囲気だった。水族館グッジョブ。




 ところで、日本では北米から来たバス・ギル類の移入が生態系を破綻させていますが、この五大湖では逆にアジアから移入したコイや金魚などのフナ類、ヤツメウナギなど、我々にとってはお馴染みの魚達が在来の魚を駆逐していっているのが非常に皮肉な点です。このカワマスもヤツメウナギによってかなり数が減ったようです。それについてのボヤキは長くなりそうなので、また別の時に。

2014年7月6日日曜日

珍しい巨大・肉食ボウフラもわいていたのに・・・


 丹精込めて世話していたベランダの「ボウフラ牧場」が何者かに破壊された。いいサイズの活イトミミズがなかなか手に入らない(頼むとバルクで来る)当地なので、サラマンダーなどのエサとして、大きく育てたボウフラは便利でした。因みに隣の「サカマキガイ牧場」は無事でホッと一安心。・・・という、集団的自衛権ってなんだい?的日々でした。6月中に、去年(一部で)好評だった2014年上半期・注目両爬モルフを勝手にまとめるアレをやりたかったんですが、ちょっと前に書いたリューシのボアコンのエントリー後ヤボ用に追われたり、またブリーダーの方にきれいな大きい写真を送ってもらおうとしたりしているうちに、7月になってしまいました。新しいモルフは類誌などの媒体に載せたりする関係で、一定の期限が過ぎるまで公開できない写真などもあるようなのでちょっとややこしい。


 来週は招かれて中西部の都市シカゴへ数泊してくることになりました。ミッド・ウエストといえば五大湖周辺の工業地帯として知られ、昔からハープカルチャーも含むサブカルチャーの類が元気な場所でもあります。今回あまり時間がないからどのくらい見て回れるか分からないけれども、古い動物園と、できればプロショップなども覗いてみたい。ついでだからカナダもまわってくる予定です。今、どうやったらレイクエリーミズベヘビのいる公園へいけるか、行程の合間にフィールド探索の時間をねじ込めるか頭をひねってます。

 写真はさっき撮ったウダミ。毎度変わり映えのしない写真ですみませんが、飼い主の自分にとっては日々違った表情があるんですね(笑)。毎朝、おきて彼女達に霧吹きするのがささやかな癒しになっちゃってるので、これから1週間も放置になるのが心配だ。この個体は顔がかわいいのが取り柄なのですが、このアングルだと研ナオコ系ですね。というかどっかで見たことがあるな、こういう人。


コレだ。

 

2014年7月4日金曜日

藪の危機


 うちの前庭は、共用路から続く小さなコンクリートの階段で分断されており、右側はとなりのうちと共用のスペースになっている。そこは地面を這い回る系の土着のツタ植物で覆われており、小さな生き物たちの格好のシェルターとなっているのだ。とくればそれらを食する爬虫類達も寄ってくるわけで、今までも実際この近くでガーターヘビクビワヘビを見かけているし、噂によるとでっかいトカゲも居着いているらしい。このエリアには数種のトカゲが住んでいるはずで、自分の目で見て捕まえて確認するまでどの種類だかわからないので、管理人はこのトカゲを捕まえたくてしょうがないんだけれど、今のところ天が味方する気配は感じられない。されどもいち爬虫類好きとしては、玄関のドアステップを出てすぐにこういう環境がある事は好ましく思えるので、見た目そこそこ綺麗になるように、でも入り組んだ蔦の自然の造形も失われないように、微妙な塩梅の手入れを行っている。

 この「管理された藪」の右側の家にすむおばさんは重度のヘビ嫌いらしいことが最近分かった。類は友を呼ぶのか、このおばさんの友達も大のヘビ嫌いで、この藪のせいでその友達はおばさんの家に訪問できないらしい・・・という話を、おばさん本人が真面目な顔で相談してきたためだ。管理人は庭木を刈るのが好きで、いつのまにか近所の便利な剪定屋のような立ち位置になっているので、この藪についても何か抜本的な対策を講ずることが期待されているのだろう。おばさんは多分、本音を言えばこの奇怪な蔦植物をどけてマリーゴールドかなんかを植えたいのだろうが、北バージニア小さきものクラブ理事および、北バージニアくびわファンクラブ会員1号の自分がいる限り、そんな事は起こりえないのであった。

 ところでこのヘビ嫌いのおばさん、見かけはフリフリピンクで世間話好きの主婦だが実は退役軍人で、聞くとけっこうシリアスな経歴の持ち主なのだ。つまり有事の際にはマシンガンで鉄の雨を降らし(たぶん)うちの近所を守ってくれるであろう頼もしい人材であり、よって、彼女の意見をないがしろにし過ぎるのも良くない。というわけで今どうすればマリーゴールド用のスペースも確保しつつ、生物達の住環境もキープするかで頭をひねっている。写真は別の日に藪の横で目撃された、哀愁のシマリスの背中。