2014年12月20日土曜日

スナボアの近況


 ぷん太郎(♀)のケージにも雪が積もる季節になりました。

 というのは冗談で、チチュウカイヤモリのミニテラリウム用に購入した砂の余りを、スナボアにも入れてやった所の写真です。管理人がジャベリンスナボアだと信じているこのヘビ、WCならば、遠い昔こんな光景が本当にあったかもしれないと思うと、わくわくするような、少し切ないような、微妙な感覚に陥ります。ただCBという可能性もあるので、全ての想像は=妄想なのですが。

 ぷん太郎はもうすぐうちに来て3年目を迎えますが、環境に十分に馴染んだらしく最近何となくピカピカしてきました。そこでどこかにいいオスでもいたらいいなとたまに思うのですが、そもそもあまり流通量のないスナボア、加えてこの個体は種類もオリジンもあやふやなので、将来的にもし子供が出来てももらいてがないかもしれません。自分が販売者から聞いたぷん太郎にまつわる情報は、「おそらく」今までに2回下取りに出されていて、CB「かもしれない」「ロシアスナボア」のメスで南シベリア産「らしい」というものだけで、真相は本ヘビのみぞ知るという状況なのです。

 このヘビを見ていると、WCの両・爬のペットトレードの世界では、生体の出自やローカリティなどの正確な情報を提供する、信頼に足るようなシステムがなく、生き物を買う側にとっては結局の所供給者(輸入者やお店)による口伝えや、書面というアナログな手法で伝えられたデータしか、頼れるものがないことを残念に思います。そのような情報は時間とともに失われる可能性もあるし、またどんなに信頼できる会社やお店でも、手違いが起きる事もあるでしょう。そのため極論を言えば、現段階では、WCの生物は野外採集されてペットトレードに乗ったとたん正確な個体情報が失われる一方となり、たとえ生きもの自体としては元気に生きていたとしても、その種・亜種としては「死んだ」状態になっていきます。「死んだ」というのはその個体が将来的にその種・亜種のために貢献する可能性が、限りなくゼロに近くなったという意味です。

 しかし野生の生き物という天然資源が減少傾向にある事や、爬虫類や両生類が非常に長命な生き物だという事を鑑みると、愛好家個人個人が好きで細々と系統維持していた生き物が、我々の趣味を持続可能なものにしていくだけでなく、遠い将来種の保存などにおいて重要な役割を果たすようになる日が、絶対に来ないとは言い切れないのではないかと思うのです。突飛なアイデアに聞こえるかもしれないけれど、希少種のカメなどでは既に一般人のペットを保護団体が買い上げて、繁殖プログラムに取り入れるなどの動きは出てきています。(※ここから先は長い退屈なウンチクになるので、アップするか迷いましたが、日ごろWCの動物に関わりがあって、且つ時間のある人には面白いかもしれない話題だと思ったので、追記にしました。もっと読むのボタンから読めます)。



 これは単なるパンピーの理想論ですが、WCの生物を売り買いする時、生体のバックグラウンドを供給者側がデジタル形式で提供してくれるような時代になったらいいな、と思うことがあります。具体的には、書面上だけで「○○産」というだけではなく、現地のとりこの人が撮った写真(現地の環境や気温、位置情報などのデータも含めて)から、シッパー、輸出会社、輸入会社と、個体のドキュメンテーションをデジタル形式で保存しておき、最終的にそれを購入する人がアクセスコード等を使って、今までの記録を自由に閲覧できるような状況を想像します。これは、実際の供給者(輸出・入屋さん)からしたらきっと全く馬鹿げたアイデアで、「日ごろ何千匹と取引しているのにいちいちそんな手間、かけてられないよ!」と思われるでしょう。

 しかし考えてみたら、野生由来の両・爬にとって「正確な個体情報」とは大きな付加要素で、個体の価値を永続的に高めるものだと思うんですよね。少し大げさな例だけど例えばお店で「爆着!!ソロモン諸島から来たパシフィックグランドボアっす!ド派手なパルソニーっす」という触れ込みできた個体と、「ソロモン諸島イザベル県ブアラ村の南西約6マイル(-8.236480, 159.587661)で捕獲されたパシフィックグラウンドボア(C. carinata paulsoni)雌、推定5歳未満です。捕獲時の気温は27℃、湿度75%、農園が近くにあるのでげっ歯類が豊富な区域です。捕獲地点の様子は写真を参照してください。ファームでストックしている間にトリートメントを済ませて、日本のマイクロチップも入れておきました。識別番号:ABC DEF GHI」みたいな個体を比べたら、自分だったら後者の方に2万円多く支払ってもいいと思う。なぜならその「正確な情報」のおかげで、生体の出所がハッキリして、これから上手く飼育していくためのヒントがかなり具体的につかめるようになっただけでなく、その個体にとって適した繁殖相手を探すための手がかりまで得ることが出来て、ひいては、その個体の血統が「正真正銘、セントイザベル島産パルソニーCB」として、累代にわたって価値を維持することにもなる為です。

 この例を使って言えば、例えば供給者側の問屋さんが現地会社を通して送られてきたデータを使ってデジタルファイルをぺラッと一枚作成するだけで、瞬間的に個体に2万円の末端価格を付加することが出来るということでもあります。ファイルなんて、材料とフォーマットさえ整えておけば10分あれば出来ると思うので、時給2000円で翻訳と書類作成のバイトを雇っても利益が出るでしょう。野生動物のペットトレードという産業が先細りになっていく中、ペットルートに乗っているWC個体の多くは将来ブリーディングストックになる可能性が高まっていく事を考えると、個々の生き物の活用度を高めるためには、まだまだ工夫の余地があるのではないか~?と、スナボアを見ながら考えていた今日です。