2014年12月24日水曜日

「新種」の作り方


 爬虫類や両生類の新種といえば大自然の奥地で科学者や探検隊が発見するような印象がありますが、実はヒトの管理下からも生まれるんだという話を目にしました。リンク先は英文ですが、その新種のトカゲのブロマイドが掲載されています(可もなく・・・不可もなく・・・といった風なトカゲです)。この話の概要は、

 ・北米に住むハシリトカゲ(Aspidoscelis属のなかま)は、地域により亜種間交雑や単為生殖する事が知られていた
 ・亜種間交雑した個体は、それ以降単為生殖によってメスの子孫のみを生み出すことが分かっていた
 ・この時クローン体であるはずの仔個体は、親と違ったゲノム配列をもったトカゲになることがある
 ・さらに、米国南部の一地域には、遺伝的に三倍体のハシリトカゲが居る事が知られていた
 ・さらにさらに、1967年にNeaves氏により天然の四倍体の個体も発見されていた
 ・この不可思議な現象を実験室で再現しようという試みが行われる(単為生殖する三倍体メスと近縁種のオスを用いて)
 ・予想通り四倍体の仔がとれた。しかも単為生殖しはじめて、現在その子孫が200匹まで増えている
 ・これらの子孫は新種であるとして、「Aspidoscelis neavesi」と名付けられた

とのことです。ただこれを新種と言い切るには反対意見もあり、というよりかは「ハイブリッド・クローン」のような存在として、新定義を設ける必要があると考える人も居るようです。面白いのは、こういう亜種間交雑やその後のリプロダクションが、ふつうだったら何千世代もかかる新種形成の取りうる、別の道順として存在するという一例が示されたことで、「人工的な環境下での新種の発生」というセンセーショナルな出来事は、その確かめ算からの、副産物という位置づけなのだと思われます。とりあえず、そんな「新種」作りに興味のある人は、まずは野生下で亜種間交雑+単為生殖する生物を探してくる所から始めるとよさそうです(笑)。

 しかしこれを見ると学問には王道なしだが、「新種形成に王道あり」という事になって、系統学的ズルが横行しても良さそうなものですが。少なくとも自分がハシリトカゲだったら正直、チートしたくなると思います。なにしろニューメキシコかどこかの砂原をチョロチョロ走り回って、そのうち鳥かなんかにコツッとやられて死ぬか、人間に無暗に追い掛け回されたり、捕えられて「トカゲ sp」みたいな扱いになって、輸送中の箱の中で死ぬかみたいな人生だと思うので、それならば一か八かナウな子孫でも残して、ひと花咲かせようぜ!という気にもなってくると思います。


 そんなこんなで今年もクリスマスの季節になってしまいました。今年はこのブログの方もリンクしてくださる方が出てきたり・アクセス数も少し増えたり(といっても以前のアクセス数は1日5pvとかでしたが 爆)と、嬉しい変化がありました。反面、私生活では電化製品は壊れまくり思わぬ健康上の問題が浮上したり、喪中になったりと、あまりめでたい事もなかった大殺界・2014年だったので、新年の挨拶は出来ませんが、クリスマスのeカード用にちょちょっと作った絵を飾って、今年の更新を終了したいと思います(本当はあと1回まとめ記事を書きたかったですが、時間がとれるか分からないので)。それでは、みな様、一年間、こんな文字ばかりなブログを読みに来てくださりありがとうございました。良いホリデーシーズンをお過ごしください。

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