2015年2月23日月曜日

ワニだって遊ぶという話


 爬虫類はどのくらい頭がいいのか?という、管理人が日ごろ興味を持っているテーマなんですが、それに関連する話題として最近、「ワニも遊んでるらしい」という新説が発表されました。興味のある方は読んでみると面白いかも知れません(テキスト全文[PDF]、あと日本語の記事でとても分かりやすくまとまっているものもありました)。爬虫類以下の動物に関するケーススタディみたいなものが最近増えていると感じますが、トレンディなテーマなんでしょうか。単に新説を唱えやすい分野なのかもしれない。

 この話の概要を一言でいえば、野生下・飼育下両方におけるワニの観察を通して、彼らの間にも、ほかの動物と同じく遊び-運動遊び(locomotor play)、物体遊び(object play)、社会的遊び(social play)行動が存在する!という主張につきます。爬虫類の行動研究とはどういう尺度を使って解釈しているのかが人によって違う印象があるのでどうしても眉唾感は付きまといますが、こういう研究に長い年月を費やす人が出てきたという事だけでも、意義ある事だと思われます。

 ところでこれを読んで思い出したのが(手前ミソ的でアレなんですが)二年前にちらっと書いた話です。これなんかも「ワニにも遊び心がある」という前提で見てみると、ある時鼻に引っかかった小枝を「もてあそんで」いたところ、たまたま鳥をおびき寄せることに成功したワニがそれを学習して、捕食活動に昇華させていったというシナリオが浮かんできます。フトアゴヒゲトカゲの研究では、個体間でお互いの行動をマネして学習するという行動が観察されているので、主観だけれどより賢そうなワニの間でこういう「有意義な遊び」行動が広まっていくというのも、ありそうですね。つまるところ、私達生き物にとっての遊びというのは=可能性の模索であり、全ての遊びは生命にとって不可欠な、次世代へ生き延びていくための手段の探求へと通じているのではないかと思われます。そうやって考えると爬虫類や両生類、魚や果ては昆虫の仲間に至るまでいわゆる「遊び」と思われる行動が存在したとしても不思議ではないし、我々人間達の間でも、一見ムダな「遊び」に興じる事が、将来重要な発見のきっかけを運んでくることもあるわけで、そういう人々を笑ったり、バカにしてはいけないと思うわけであります。と、一見無意味な趣味である、爬虫類・両生類好きが申しているわけであります。

 今日の写真はワニの遠縁ということで動物園シリーズ②、先週水曜日のガリアル(Gavialis gangeticus)のお姉さま。彼女自身は堅実・真面目で「遊んでる」という印象を抱いた事はないですが、このガリアル水槽に同居している、自分が「スナック」と呼んでいるオオアタマガメがチャラ男であり、立場もわきまえずに彼女の上に乗ったり、彼女の口吻のまわりを意味もなくウロウロしたり、用もないのに浮いてる葉っぱのまわりをクルクルしていたりわが物顔で、かなり「遊んでる」雰囲気です。ガリアルがお魚が好きな大人しい生き物だという事が幸いでした。このワニは「ガビアル」では?と思った方で、お時間のある方は、よかったらこちらのうんちくもご覧ください。

2015年2月16日月曜日

※ブログのんびり更新のお知らせ


 ボランティア先のカパーヘッド。以前書いたかもしれないけれど、子猫を思わせるような、ペコちゃんと鬼太郎の猫娘を足して二で割った的なというか、どことなくコケティッシュな魅力を持った顔立ちの生き物です。魅力は表情のほかにもあります。どういうわけだか知らないけれど、このヘビは体臭がほのかに香ばしい気がするんですよね。例えていうなら、「どっか遠くの家が、パンを焼いているなと気付いた時」のような匂いです。アナコンダのように近くに行っただけで気力が衰えるような臭気を放つ(※)ヘビも居ますが、こんな不思議な匂い、いや香りを持ったヘビもいるんだなあと毎度通りすがるたびに感心しています。そうやって改めて見ると、どことなくパンっぽい色と質感のヘビですね。写真の様な北部の個体群は斑の陰影がより濃い傾向にあるので、丸まってたらカリカリベーコンパン的に見える可能性も、きっと無きにしもあらずでしょう。これは、もしも野外で見かけてもおっ!こんなところにパン♪と拾わないようにしないと。こちらの手が「パンパン」にされること請け合いなので。
 
 ※ヘビ本体と言うより、彼らがずっと漬物のように浸かっている水が臭いように思われる。



 そんなこんなで2月もあっという間に半ばを過ぎてしまいました。散歩道で爬虫類や両性類にほいほいと出会える季節はまだもう少し先ですが、外で鳥類や哺乳類などの様子を見ているともうすっかりと春の繁殖期に向けた行動に変わってきているのがわかり、自然界の春支度は、もうすでに始まっているんだと思わされる事が増えてきました。

 そんな中私個人はといえばどういうわけか急に多忙になってしまい、ここへきて体調不良も重なって、フィールドどころか近隣の散歩にも出られない日々が続いていました。こんな状態でさらに無謀にも犬を飼う計画まで立てちゃったりして(例の安全対策の一環として)、これから一体どうなってしまうのか見当も付かない状況なのですが、それら諸々条件変化の帰結として当面、ブログの更新がスローペースになることをご報告したく思い、エアー筆をとりました。

 とはいえ今後もエキスポ等に足を伸ばしたり、カエル・ウォッチや、生体カウントの手伝い等は出来る限り暇を見つけてやっていこうと考えているので、できればその合間、合間でなにかノートを残せればと思います。更新が不活発になるのに際して、ブログむらなどのリンクを外そうか検案しましたが、ここを通して知り合いになれた方も多い気がしているので、そのままにしておくことにしました。では、もしよろしかったら、今後もまたのんびりお付き合いいただけたら幸いです。

2015年2月12日木曜日

投薬終わりました。


 家のぺルビアンロングテールボア、通称「大きいロンギ」の投薬期間が終わりました。ここで根治してほしかったので、3日に1回2セットの注射のほかに、日に2回のミスティング、毎日ウェットシェルターの交換(ズボラ流に変更したので清掃がとてもらくになった)、温水浴強化月間として、週に2回くらいをめどに、衣装ケースで風呂に入れてやっていました。注射は片手でヘビを補綴しながらもう一方の手で場所を確認→打つとやっていたため、その間のドキュメンテーションが出来ず残念でしたが、最後の方は大分慣れてきて口に注射器のキャップを咥えながら、ちょっとした野戦病院か、ランボー気分が楽しめました(そんなシーンなかったと思うけど)。ヘビ本人は至って落ち着いており比較的元気ですが、ほぼひと月ほど何も食べていないのでやはり一回り小さくなった感があります。これからちょっとインターバルをおいて、少し強めに給餌をして、月末にあるフォローアップの検診までに体重を9割前後まで戻しておく事を、今後の目標としました。ロンギよ、ひとまずお疲れ様!このヘビはもともと非常に穏やかな性格の個体なんですが、毎度、痛いはずの注射にも怒りもせず、大人しく静かに頑張ってくれたので、毎回自分の血液検査の最中に、担当看護師に「今日のは素晴らしいね」「注射の腕が上がったんじゃない」とか、「今回は今一歩だったね」とゴチャゴチャ批評を加える癖のある管理人としては、見習うべき立派な手本を見せられた気がしました。あとは、次の検診でなんかおかしな菌が見つかったりしないことを祈りつつ。